漁師、地域と共有する想いと技術
福井県日向の活性化を目指す
日向の宝「村張り定置網」。
日本海に面する若狭湾は、ブリやサワラをはじめとした豊富な魚種が獲れる一大漁場です。そこで昔から行われている大型の定置網漁は「大敷網(おおしきあみ)」と呼ばれ、中でも福井一の規模を誇るのが美浜町日向(ひるが)の大敷網です。
‘五色の湖’とも言われる景勝地・三方五湖の湖畔に続く昔ながらの漁村「日向(ひるが)」は、村全体で漁を営む’村張り定置網’を中心とした漁師町。村張り定置網とは、日向地区に住むほとんどの住人が共同で出資をして船や網などを買い、村の共同体として運営している定置網漁業の事。夏網と冬網の2つを操業し、夏網は育成の為に若手漁師を中心に約10名、冬網はベテラン漁師達も乗り込み約30名体制で、大型定置三漁場の壮大なスケールでの漁を行います。お盆明けには大掛かりな網替え作業があり、この時ばかりは静かな日向地区も、村中の人たちが集まり祭りのように賑わいます。
神経〆・血抜きにより日向の魚をブランド化。
美しい自然に恵まれ、地域の絆で結ばれた日向にも、過疎化・漁業就労者の減少・魚価の低下など、多くの問題を抱えていました。「地域を守りたい!」そう立ち上がった美浜町漁協さんの熱い想いに心打たれ、日向と私達との取り組みが始まりました。その一つが、「神経〆・徹底血抜き」による魚の品質向上です。
船の上では大変な「神経〆」ですが、適正な評価がなされない魚に品質という付加価値を付け、市場価格より高く買い取ることで、魚価・品質の向上とブランド化を目指しています。日向の漁師たちは、「価値ある旨い魚を届けたい」という想いで今日も荒れる日本海・若狭湾の海に船を出しています。
魚以外もあります。
地元ならではの高鮮度な地野菜。
「辛味大根」に「あやめ雪かぶ」など、有機栽培にこだわりを持つ農家の秋山健一さん。限りなく自然に近い環境で山菜やキノコなどを育てている松下照幸さん。魚から始まった美浜町と私達との取り組みは地域の農産物へと輪を広げ、地域一体となった深い取り組みへと発展しています。