菅原さんのちぐさピーマン
パプリカのような大ぶりな実が特徴の、ベル型ピーマンの希少種「ちぐさ」。大きく肉厚な実はジューシーで、ピーマン特有の苦みがなく、フレッシュなほの甘さは全国多数のファンを虜にしています。
宮崎県西都市の菅原さんは、ちぐさピーマン一筋で栽培している農家さんです。ちぐさのおいしさに惚れ込み、栽培を決意したという菅原さん。しかし、ちぐさの希少性最大の理由は、その栽培の難しさにありました。通常のピーマンは実をつけてから収穫まで30日前後ですが、ちぐさは約40日間の育成期間を要します。また、大きさも通常のピーマンが約30gなのに対し、ちぐさは70gほどになるまで収穫を待ちます。大きな実は、自身の重みで落ちてしまい、出荷できない状態になってしまうことも。また、虫や病気に弱いちぐさは、通常だと農薬をたくさん使って栽培しますが、菅原さんは害虫の天敵になる虫を使うなど、出来る限り農薬を使わない方法を模索しながら栽培を続けてきました。
そうして手塩にかけて初めて育つちぐさも、はじめは知名度もなく全く売れず、何度も諦めそうになったと菅原さんは話します。でも、たとえ報われなくても出来るところまでやってみよう。そう胸に決め、大変な栽培作業を1人黙々と続けてきた菅原さんの心に大きく響いた出来事がありました。
「直売所で実演販売をしているとき、見知らぬ子供が『あー、このピーマンおいしいやつだ―!』って走り寄ってきてくれたんです。涙が出ましたよ。やっぱり諦めずにつくり続けてきて良かったと思いました。」
APカンパニーではすっかりおなじみとなった菅原さんの「ちぐさピーマン」は、全量手摘みで大切に収穫しています。
通常、ピーマンは日持ちのする緑色の状態で出荷するのが一般的ですが、私たちが菅原さんの畑に伺った際に見つけたのは、熟す過程で緑からオレンジ、赤色へとカラフルに色づいたちぐさ。実は菅原さん曰く、「この赤くなりかけたところが、本当はもっと甘くて美味しいと。食べてみ!」
実際に食べてみると、まるでフルーツのような甘さとリンゴのような瑞々しさ。完熟まで収穫を待つ状態は苗木に負荷がかかること、また色が均一でないピーマンは一般には「規格外」とされるため、通常はほとんど流通することのない幻の「虹色ピーマン」ですが、本当に美味しいものを届けたいという菅原さんの想いとともに、期間限定でお客様にお届けしています。